消えたいの向こう側(第56話)

うつとの闘い

前回はこた美のお友達のおかげで楽しい京都旅行ができたようでした。

持つべきものは良い友達ですね。

さて、話は再び日常生活に戻ります。

うつ病などの精神疾患の人が他者と関わる時にしんどい所は、

相手に病気であるとぱっと見でわからない所」があるかなと思います。

こた美の体調が比較的良い日に人に会ったり、電話したりするとよく言われる言葉が、

「思ったより元気そう」とか「良くなってきてるね」という言葉です。

こた美からすると友達や人に会う間は最大限の努力をして元気を装うといいます。

その努力がなかなか相手には伝わらず、

うつ病のしんどさが相手に理解されないしんどさを抱えてしまうようでした。

こた美の健康バロメータ

こた美の健康状態をみるにあたって私はおよそ3つの領域に分けていました。

健康ゾーン…家事(洗濯や掃除など)をすることができるくらい自分で動けている状態

体調不良ゾーン…頭痛、吐き気、腹痛、パニックなど心身に不調があり、ベッド等で休んでいる状態

消えたいゾーン…首に紐をまいたり、体を自分で叩いたり自傷行為に走る状態

消えたい時に目に入るもの

2023年2月

1月から体調が悪くなったこた美ですが、このころから増えてきたのが自傷行為でした。

私の住んでいたアパートは一部突き出ている箇所があり、そこに小さい窓が3つ付けられていました。(下の写真参照)

その為私の家もカーテンではなくこのようにブラインドを取り付けていたのですが、

このブラインドを上げ下げする際のひもを見ると

首にまきつけたくなる衝動に駆られてしまうそうです。

この他にも携帯の充電器のコードやビニールひもなどひものような形状を見ると

首をしめたくなる衝動にかられてしまう為、私はひも類は必ず箱類に入れ、

ブラインドの紐は必ずくくって紐を見ないような環境を作っていました。

自傷行為をさせない環境づくり、これとても大事です。

消えたいの向こう側?

1月のこた美の状態を表すと昨年まで出来ていた家事類はほとんどできなくなり、

基本的に体調不良の状態が続き、パニックや睡眠障害がひどくなっている状態でした。

朝私が7時くらいに仕事へ行く時、こた美はフラフラになりながら見送ってくれるのですが、

そのあと私が返ってくるまで、寝ずにほとんどスマホを見て過ごします。

そして私が帰ってきて夜の10時くらいに寝ようとするのですが、

こた美は深夜1時くらいまで寝られずスマホを触り続けており、なかなか寝ることができない状態でした。

私も学生時代は深夜までゲームして、朝は学校へ行くみたいなことをやっていたことがありましたが、

イライラや腹痛など身体的な症状が現れて3日間くらいしか体がもちませんでした。

こた美は1日約18時間スマホを見る生活を1か月している状態でした。

すると2月を過ぎたこた美の体はどうなるか?想像の通りです。

2月に入ると体調はさらに悪くなり、常にこた美の頭に消えたい感情が湧き出てくるとのことでした。

その時今まで無かった症状が現れたのです。

その領域が「虚無ゾーン」でした。

虚無ゾーン…消えたいを通り越して脳の思考が停止して動けない状態。

今まで、腹痛、頭痛、吐き気、パニック、「消えたい」気持ち、等々で

あれだけ泣き叫んでいたこた美がある時、

妻「…………………」

何の言葉も発さなくなり、壁にもたれたまま全く体も動かさず、

目もただ一点だけを見つめて微動だにしていない様子でした。

私「おい!大丈夫か!」

と私が声をかけてもこた美は何の返事もなくただただ一点を見つめて、

かすかに口元が少しパクパクしている状態でした。

1時間くらい背中をさすり続けてようやく意識が戻り、言葉が話せるようになったこた美に何があったか聞いた所、

こた美「自分の体が自分の物じゃなくなった感じ、動かそうとしても動けなかった。

とのこと。

おそらく体の自己防衛本能だと思うのですが、体と心に限界がきて思考を停止させている状態なのかなと思いました。

この虚無の状態が2月は何回も起こり始めていた為、

私「この状態が続けば本当にこた美がいなくなるんじゃないだろうか。」

と本気で思いました。

このままではいけないと考えた私はこの状態をなんとか打開する為、次の行動にでます。

私「介護休業を取得しよう。」

ここから私の会社との交渉がはじまりました。

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